インスタグラムとスナップチャットの利用者獲得競争が激しいですが、今回は2つのサービスをどんな人が立ち上げて会社にしたのか、創業者で徹底的に比較してみました。
どちらも拘りのある社長ですから、どちらの社長が好きかで使うアプリの選択をしてみても楽しいのでは?
ところで、この2つのサービスは機能も似ていますが、社長の経歴も非常に似ています。2人とも、スンフォード大学を卒業(Instagram)と中退(Snapchat)です。 それに、両者ともパートナーの共同創業者はスタンフォード卒です。
最も立場に違いがでたのは、最後の "項目5 プロダクトに関する見解”でしょうか?。
それに2人とも最近結婚しましましたが、配偶者の選び方も、それぞれの個性が出ているように思います。
1.創業者の経歴
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(Instagram)ケビン・シストロム(Kevin Systrom)氏は、1983年12月にカリフォルニア州サンディエゴ市に生まれました。 父親は TJX Companies(大手ディスカウント百貨店)の人事副社長を務め、母親はMonster.com(人材マッチングサイト)や、Zipcar(カーシェアリング)のマーケティング・エグゼクティブを勤める裕福なご家庭で育ちました。
彼は、スタンフォード大学で経営管理とエンジニアリングを勉強した後、2006年に卒業し、Google社に入社。 彼はコンピュータのコーディング(プログラム)も書けるのですが、Google社では、約3年間G-mailやCalendarのマーケティングに従事しました。(日本の就職と違い、米国では就職する際に、どの仕事に応募するかを決めますから、マーケティングは彼の選択です。)
その後2010年に、元Google従業員の地図情報に関するスタートアップ企業 (NextStop社:のちにFacebook社に買収される。) に転職したのち、Instagram社を創業することになります。
(Snapchat)
エバン・トーマス・スピーゲル(Evan Thomas Spiegel)氏は、1990年11月にカリフォルニア州ロスアンゼルス市に生まれました。ご両親とも弁護士で、Crossroads School for Arts and Sciencesを卒業後、スタンフォード大学に入学します。
彼は在学中にSnapchatのプロトタイプを開発し、2012年に大学を卒業する目前でSnapChatに専念する為に中退しました。
*注:写真はどちらも2012年撮影のもの。 ソース:Wikipedia
2.最初のベンチャー・キャピタルとの出会い
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(Instagram)
2010年に、ケビン・シストロム氏は、ベンチャー・キャピタリストのスティーブ・アンダーソン(Steve Anderson)氏(Baseline Ventures)と、ベンチャー・キャピタルと起業家が交流するパーティーで出会いました。当時、ケビン氏が考えていたBurbn(バーボン)のアイディアを披露すると、スティーブ氏は、翌日、コーヒー・バーで会おうと約束してくれました。
翌日、コーヒー・バーで二人が話している時、ケビン氏の携帯に絶えずアラート・メッセージが届いてきました。 スティーブ氏が「その音はなに?」と尋ねると、ケビン氏は「誰かがサイン・アップするとアラートが来るようになってるんですよ。」と答えました。
「面談に備えて、仕組んだんじゃないの?」
「いえ、そんなこと全然ないです。」
やがて、スティーブ氏は、新規サインアップ者がケビン氏が仕組んだものでないことを理解すると、その場で$250,000ドルを投資することを約束してくれました。
すると、後日、矢継ぎ早に他の2名のベンチャー・キャピタリスト(Marc Andreessen 氏and Ben Horowitz氏)も、$250,000の投資を約束してくれました。
ケビン氏は、この時のことを述懐しています。
「シリコン・バレーでは、誰かひとりの投資家が見つかると、彼らは次のGoogleに乗り遅れまいとしているので、次々と出資しても良いという人が出てくる。 このときは、ピーナッツ・バターのサンドイッチ生活だったので、$500,000 なんて見たこともなく、とても嬉しかった。」
(Snapchat)
Snapchatに最初に投資することに決めたベンチャー・キャピタルはLightspeed社のJeremy Liew氏です。 ジェレミー氏のパートナーから、パートナーの娘さんが ”通っている高校でみんなが使っているフォト・シェアのアプリは、3つしかないの。 Angry Birds, Instagram, and Snapchatよ。” と言っていると聞き、Angry BirdsとInstagramは知っていたけど、Snapchatは知らないと思い興味を持ったそうです。
通常は出資を受けるベンチャー起業側がベンチャー・キャピタルに連絡を取ろうとするのですが(アマゾンのジェフ・ベゾスでさえ、出資を受ける為に60社のベンチャー・ファンドにプレゼンをしています。)、スナップチャットの場合、投資家の方からエバン・スピーゲル氏に連絡をつけようと、必死になっているところが凄いところです。
最初にジェレミー氏は、Google検索やLinked Inで連絡をとろうとしたが返信がこず、最後は、Snapchat.comのドメイン登録の連絡先を調べ、エバン氏がJeremy氏と同じスタンフォード大学卒であることをようやく発見し、ようやく同窓会名簿から連絡先を調べて連絡をすることができました。
そこまでして、初めてエバン氏が返信を寄越すこととなりました。 エバン氏はSnapchatの共同創業者と2名で、ジェレミー氏のオフィス(有名なベンチャーキャピタル会社が集まるメンロ・パークのサンド・ヒル・ロードに所在)を訪れ、10日後に$485,000ドルの資金提供を受けることになります。 まだ、Snapchatが10万ダウンロードにも達しない時期での資金調達となりました。
2人の創業者とも、多くのベンチャー企業が通過しなくてはならない資金調達を、簡単に実現してしまっているところが凄いところです。 調達した金額もだいたい同じですね。
3.パートナー共同創業者
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(Instagram)
Mike Krieger: Kevin氏のスタンフォード大学の2年後輩にあたり、共同パートナーが必要だと感じたケビン氏の方から声をかけました。 マイク氏は2010年に、ケビン氏と働き始めることになります。 最初は、多くの機能を詰め込んだBurbnというアプリを開発を進めますが、機能が複雑すぎて、ダウンロードが伸びませんでした。
この時、インスタグラムに出資しているベンチャー・キャピタリストから、こういうアドバイスをもらったと述懐しています。
(投資家からのアドバイス)
”使ってくれていない人”に「どうして使ってくれないんですか?」と聞いてはいけない。
”使ってくれている人” に「どうして、ずっと使ってくれているのですか?」と聞きなさい。
このアドバイスがきっかけで、Burbnの中のフォト・シェアの機能に特化したアプリ、Instagramを開発し、これが爆発的にヒットすることとなりました。
(Snapchat)
Bobby Murphy:1988年生まれの彼は、エバン・スピーゲル氏とスタンフォード大学在学中から友人になり、高校生が大学に向けてアドバイスを受けられるサイトなどを企業化することを、スピーゲル氏と実験的に試みたりしていました。 Bobby氏は、大学卒業後、Revel Systemsという会社に就職しましが、Snapchatがベンチャー・ファンドを受けられる2011年まで、彼は給与の半分を、Snapchatの必要経費の支払いにあてていました。
4.2018年時点の事業形態
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(Instagram)
2012年4月、 Instagram社はFacebookに、13名の従業員とともに、$1 billionドルで買収されました。シストローム氏は、この売却により、株主としての資産など$400M相当を得ることができたと言われています。 Instagram社はFacebookに買収された後も、独立した事業体として運営されており、ケビン氏がCEO、マイク氏がCTOを勤めています。
(Snapchat)
2017年3月、ニューヨーク証券株式市場に上場し、$3 billionドル(約 3,300億円)の株式上場益を得ることに成功しました。
5.InstagramがSnapchatをコピーしていると言われる件について
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(Instagram: ケビン氏の発言:2016年11月)
“Many of the new services being launched by tech companies are "remixes". "All of these ideas are original when you remix them and bring your own flavour,"
“最近のテック企業のサービス・リリースは全て既存の製品のリミックスであって、オリジナルかどうかは、自身のフレーバーをどれだけ加えられるかにかかっている”
https://www.wired.co.uk/article/instagram-kevin-systrom-future-of-instagram
(Instagram: エバン氏の見解:2017年3月)
“If you want to be a creative company, you’ve got to get comfortable with and basically enjoy the fact that people are going to copy your products if you make great stuff.”
“創造的な会社でありたいなら、製品がコピーされる事に慣れて、楽しめるようにならなくてはいけない。”
因みにエバン氏が、Facebookが新しくフォト・シェアの機能を新たにリリースすると発表した際に、Snapchatの脅威になるのではないかと聞かれて、こう答えています。
“Just because Yahoo has a search box, it doesn’t mean they’re Google”
“検索ボックスがついているというだけでは、YahooがGoogleだとは言えない。“
https://venturebeat.com/2017/05/11/snap-ceo-on-facebook-threat-just-because-yahoo-has-a-search-box-it-doesnt-mean-theyre-google/
6. Private Life
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(Instagram: ケビン氏)
2015年10月 高校の同級生であった、Nicoleさんと結婚しました。
The couple who were high school sweethearts, tied the knot in Napa on October 31 after a two-year engagement
Courtesy of Kevin Systrom/Instagram
(Snapchat: エバン氏)
テッククランチの女性記者から、「私は何度も会って直接インタビューしているし、電話でも、インタビューをしているけど、「スタンフォード大卒で、上場させてしまう僕ってCool? 」 という
臭いをプンプンさせるエバン氏は、かなりのASS」という記事が書かれています。
この中で、エバン氏が友人に宛てたプライベート eメールがリークされていて、かなりゲスな
内容になっています。
本人は、「このようなメールを書いたことは本当に遺憾です。 今の自分は、この頃とは全く違う女性観をもっています。」というコメントを出していますが。
まあ、学歴もあり、若くしてビリオネアーになり、かなり女性にもモテるでしょうから、こうなって
しまう時期があるのも、しょうがないのかも知れませんが、成長していることを願うばかりです。
https://techcrunch.com/2014/
2017年5月、エバン氏は、オーストラリア出身のスーパーモデル、ミランダ・カー(Miranda Kerr)さんと結婚しました。
◇◇◇まとめ◇◇◇
写真家として学校で勉強をしたり、Snapchatを上場させたり、Miranda Kerrさんと結婚したりと、エバン氏は、華やかなイメージがあります。
一方で、ケビン・シストロム氏は、高校時代からの交際相手と結婚したり、Facebookに同社を売却するなど、非常に堅実なイメージがあります。
今後、両社のサービス開発にも、両創業者の性格の違いが出てくると思います。
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